台東県は面積では台湾第3の県。島の南東部、台北から見てちょうど反対側。先住民族の比率が30%を超え、台湾の原風景が残っている土地柄です。
西部には高山山脈が連なり、平地部から東は海、さらに離島へと自然景観はきわめて多彩です。知本温泉、緑島の朝日温泉に代表される温泉地もあります。
また6~8月にかけて、熱気球フェスティバルが行なわれ、数多くの気球が飛ぶ光景も見ごたえがあります。
台湾国際熱気球フェスティバル(毎年6月~8月頃・鹿野高台)
(写真提供:台湾観光局/台湾観光協会)
風向きなど気象条件に適した6月~8月にかけて、台東県の鹿野高台では、台湾国際熱気球フェスティバル(バルーンフェスタ)が開催され、毎日、多くの熱気球が飛びます。フライト体験も可能ですが、数多くの気球が飛ぶ光景を眺めるのも圧巻です。
中華圏では、夢や希望を載せて天燈(テンダン)を飛ばす文化がありますが、気球はまさに人が乗る天燈の様です。
なお、この鹿野高台には熱気球場の他、広大な草原が広がるパラグイダー場もあり、台東の風景を眼下に、多くのパラグライダー愛好家が楽しんでいます。
台湾先住民族の文化に触れる
(写真提供:台湾観光局/台湾観光協会)
先住民族の比率が30%を超す台東県。
東海岸で先住民族人口最多のアミ族、元々台東の南方平原部に居住していたプユマ族、中央山脈を中心に居住するブヌン(布農)族などの先住民族が多く暮らしており、その文化や歴史を垣間見ることができます。
また離島では フィリピン系のタオ族が暮らす小島、蘭嶼(ランスー)もあります。
※観光目的に用意されていない居住地域では、原則、立ち入り、観光、写真撮影等はできません。
民族舞踊を見ながら民族料理が食べられる「原始部落 山地美食」
台東の人気レストランの一つで、民族部落を模した建物で、民族的な料理を味わいながら、民族舞踊も見ることができます。
伝統を引き継ぐ「ブヌン族部落」
(写真提供:台湾観光局/台湾観光協会)
ブヌン(布農)族は山岳地帯に暮らす部族で、その一部は台東県の延平郷で暮らしています。
延平郷の部落内には観光農場が設立され、果樹園やコーヒーショップ、芸術センターなどの施設が整っています。「八部合音」という伝統的な歌唱法による祈祷歌や伝統舞踊等の伝統が引き継がれ、劇場では観光客向けに披露もされています。
また年に1度、4~5月頃(日取は不確定)には伝統的な「射耳祭(打耳祭)」も行なわれています。
●伝説の台湾少年野球チーム「紅葉少棒」
この延平郷の紅葉小学校には「紅葉少棒紀念館」という小さな記念館があります。
1968年、ボール代わりに石を使ったり、グローブも手作り、貧しいブヌン族の紅葉少年野球チーム(紅葉少棒隊)が、日本の関西少年野球の選抜チーム(記念館では「和歌山」チームとして紹介)と、台北で交流試合を行なうことになり、7-0で勝利したのです。
球場には立見が出るほど。少年たちの大活躍ぶりに台湾中が湧きました。合わせて、一気に野球ブームが到来。翌年には、台湾少年選抜チームが世界一に。この時には、同じく台東出身のアミ族で郭源治(元・中日ドラゴンズ)も出場しています。
しかし一方、紅葉少年野球チームには暗い影が落とされます。そもそも村の子供たちでは人数が足りないため、小学校を卒業した選手が起用されていたのです。そのため指導者たちは有罪判決を受け、非難の目が向けられてしまいました。
しかし、それでも「紅葉少棒」の大活躍は、当時の台湾社会を元気づけ、台湾少年野球のみならず、台湾野球発展の礎として語られています。1992年、有志により記念館が設立。一時は過疎化のためチーム解散しましたが、2007年に再結成、2013年4月には台湾一に、10月には南アジア少年野球大会で、日本代表(宮城県)を破り優勝。45年ぶりに「紅葉少棒」の名が輝きました。
海洋民族タオ族が暮らす小島「蘭嶼(ランスー)」
(写真提供:台湾観光局/台湾観光協会)
台東の沖合にある離島で、台東から小型飛行機、または船が出ています。
住民は、フィリピンのバタン諸島より移住したとみられる先住民族のタオ族がほとんどで3000~4000人ほどがくらしている島です。元々の伝統家屋は、台風を避けるため土台部分を掘り下げ、半地下状態で家屋を建てていました。漁業の主な獲物はトビウオで、漁船は独特のデザインと美しい装飾がなされています。
※先住民族のみが暮らす特殊な島で、観光地化されているわけではありません。許可なく住民の撮影や、日常生活、風習を侵害しないように観光する必要があります。あらかじめ、ご了承ください。
東部屈指の山間の名湯「知本温泉」
知本温泉(ちぽんおんせん)は台湾台東県卑南郷にある温泉。弱アルカリの炭酸泉の「美人の湯」。
この地域に住む先住民族の一つ卑南(プユマ)族は、古くから温泉の存在や効能を知っていたようですが、本格的に温泉地となったのは日本統治時代からで、「台湾東部一の美景」とも称されました。
温泉郷内にはさまざまな温泉ホテルがあり、日本式温泉、SPA、温泉プール等、多様な設備が揃ったリゾートホテルもあります。
広大な太平洋に面した緑島・朝日温泉
(写真提供:台湾観光局/台湾観光協会)
緑島は、台東の沖合約30kmにある島で、台東から小型飛行機と船が運航されています。年間約20万人が訪れるリゾート地となっており、ピークシーズンの飛行機はすぐに満席となります。
泉質は硫酸塩泉。日本統治時代には「旭温泉」と呼ばれ、太平洋に面しているため、早朝に訪れれば、温泉に浸かりながら、日の出を迎えることができます。
現在、朝日温泉には、海に間近の露天風呂の他、棚田式景観温泉、スパ施設を完備した室内温泉もあり、いずれも水着着用になります。
自然と親しむ台東の旅
台東式に自転車観光はいかが。
山と海に囲まれた台東では、自転車での観光してみるもおすすめ。
都会の忙しなさから解放され、のんびり田舎の風景と自然と堪能しながら、巡ってみるのも台東らしい旅のスタイルかもしれません。
台東県では、各観光地にて1週7km~21kmでのサイクリングロードが4か所、整備されています。
また国際トライアスロン大会も行なわれています。
サンゴ礁と砂岩の自然造形「小野柳」
台湾東部の海岸線沿いは、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートが接する位置にあたるため、押し上げられた岩盤と風化作用によって、奇岩の数々が見られます。
台東の小野柳には、上にサンゴ礁、下が砂岩となった奇岩が形成されています。斜めに隆起した岩盤に打ちつける波の音もすごく、海と空が広がり、自然の力を感じられるスポットです。天気がいい日には、沖合に緑島も浮かんで見えます。
ビジターサービスセンターの地質展示館では、この地の特殊な地質や海岸山脈の形成について知ることができます。
アジアでも有数なサーフィンスポット
台東県の海は、サーフィンに最高の環境で、内外のサーファーに「サーフィンパラダイス」と呼ばれています。
東河一帯の海域は砂浜地形なため、比較的安全なサーフポイントです。一方、八仙洞や成功一帯は岩礁地形で波が立ち、流れも速く、岩盤にも注意が必要で、上級者向きのポイントです。
これら沿岸は、「アジアン・サーフィン・チャンピオンシップ(Asian Surfing Championship)」の会場にも選ばれました。